SPECIAL Interview   第1回

ONION ROCK FES –CHIBA DE CARNIVAL 2015-


昨年は、結成15周年を記念したONION ROCK FESTIVALを開催、ベストアルバム『Laugh at life』のリリース&ツアー等、精力的に濃密な時間を過ごし、バンドとして更なる進化を見せつけたHOTSQUALL。 そんな彼らが、念願だったという、地元・千葉で野外イベントONION ROCK FES –CHIBA DE CARNIVAL 2015-を5月に開催することが決定した。 まず、第1回目となるインタビューでは、このイベントや千葉に対する彼らの想いを語ってもらった。

interview by ヤコウリュウジ

自然とそういうのはみんなあったんじゃないかな

―今年5月にONION ROCK FESを開催するということになりました。

アカマ(Vo./Ba.)念願が叶いますね。
チフネ(G./Vo.)ホントにそうで。しかも、地元の千葉でやれるし。

―これまで、各地でイベントを開催したり、昨年3月には渋谷O-EASTとO-CRESTを会場としたONION ROCK FESTIVALもありましたが、そういったことを踏まえても念願だったと。

チフネしかも、やっぱり野外ですから。オレらの世代は少なからずあると思うけど、AIR JAMの影響がデカいんです。あの楽しさを肌で味わってきたっていう。

―AIR JAMの体験があると言ったとき、パッと頭に浮かぶのって何ですか?

チフネ友達みんなで行って、音と砂ぼこりにまみれて遊んだ青春(笑)。
ドウメン(Dr./Cho.)楽しかったよね~。
アカマその場で仲良くなったヤツらもいたよね! ただ、すげえ記憶に残ってるのは97年で。チケットは買ってたけど、熱が40度近く出てオレだけ行けなかった悔しさ(笑)。

―ハハハハ(笑)。その時期だと、まだHOTSQUALLはスタートしてないですよね。

ドウメンそうなりますね。99年に結成だから、まだ前のバンドをやってるころだし。
チフネAIR JAMは地元の仲間大集合で遊びに行ってましたよ。思い返しても、あの青春のインパクトは強いですね。

―となると、HOTSQUALLを始めた当初から野外で何かしらのイベントをやりたいという気持ちがあったと。

チフネ漠然と思い浮かべる夢の舞台っていうモノのひとつとして、自然とそういうのはみんなあったんじゃないかな。それがすべてってわけじゃないけど。

何かやるべきだし、やれるんじゃないかなと思った

―野外でのイベントは、普段とは何か違う感じもあります?

アカマお祭り感!
ドウメンそれはある!
アカマ普通はライヴハウスやスタジオで鳴るデカい音が外で遠くから聴こえてくるとワクワクしちゃうし。
チフネ解放感って表現はありきたりかもしれないけど、そりゃ単純に外で遊ぶのって楽しいですよね。

―そういった想いを抱えてきて、なぜ開催に踏み切るのは今だったんでしょうか?

チフネ正直、自分たちで開催するっていうのは雲を掴むようなイメージだったんです。でも、全国のよく知ってるバンドたちがそういったことをやり始めてきて。やっぱり、それが大きいですかね。身近に経験できたっていうのは。

―夢物語ではなく、リアリティのあるモノとして考えられるようになったと。

チフネ動き方や運営方法を目の当たりにして。しかも、自分たちの地元に密着してやったりしてるじゃないですか。それを感じて、オレらとしても気持ちが強くなってきた。
アカマ例えば、規模はデカいけど、京都大作戦もそう。いろんな大型フェスってあるけど、ちゃんとバンドで仕切って、あの人たちの地元である京都っていう看板をドンと掲げてるっていう。そう感じたとき、オレら3人とも千葉だし、何かやるべきだし、やれるんじゃないかなと思ったんですよね。

―やっぱり、バンドが表立ったイベントは格別なモノを感じるという。

チフネ愛が満ち溢れてると思います。その人たちが心の中で掲げてるスローガンみたいな想いも自然と感じるし。それに賛同した人たちが集まって、一緒になって盛り上げる。で、最後はそのバンドが大トリを飾るのをみんなで観てるときって、特別な空気感と感動がありますよね。

―では、今回のONION ROCK FESですが、具体的に動き始めたのはいつぐらいだったんですか?

チフネ去年の春ぐらいですね。ここ何年か「こういうことをやりたくて」って夢を語るようになって、「じゃあ、やろうよ!」って言ってくれる人たちと出会ったのが始まりとなったと思います。

―スムーズに動き出せました?

チフネいや、これがなかなかたいへんで。まず、会場を借りるだけでも簡単じゃなかったんです。

その景色をいかにオレらっぽくするかがポイント

―今回は稲毛野外音楽堂で開催となりますが、当初からその予定だったんですか?

チフネいくつも案はあったんですけど、候補として悩んだってほどではないかな。会場の規模だって、言ってしまえば、いきなり何万人級のフェスはオレらにはできないし。昨年3月、渋谷O-EASTとO-CRESTの2会場を使ってやったONION ROCK FESTIVALから少しだけ広げた規模というか、それぐらいの挑戦感でやるべきだと思ったんです。いきなり背伸びしすぎるのは、自分たちとしても違和感がある。で、そう考えたとき、稲毛野外音楽堂がいいと。

―千葉LOOK店長のサイトウさんが夏にずっとイベントをやってる場所でもあり、千葉のバンドマンにはお馴染みのところですよね。

チフネですね。凄く思い入れがありますよ(笑)。だからというか、その景色をいかにオレらっぽくするかがポイントだと思ってて。やっぱり、全然違うモノにしないといけない。HOTSQUALLとしてやる意味を持たせたいですからね。

―先ほど、会場を借りるのがたいへんだったという話がありましたけど、何が難しかったんでしょうか?

チフネステージがある野外音楽堂を借りるのはまだ大丈夫だったんです。千葉市役所へ行って、ちゃんと話をしたら千葉市として後援してくれることになったし。ただ、今回は音楽堂だけじゃなくて、その音楽堂がある稲毛海浜公園自体のスペースも使いたいと思ってて。それが前代未聞みたいで、その管理事務所へ行ったら最初は全然相手にしてくれなかったんですよね。
ドウメンオレらがやりたいような規模のイベントは今までやったことないみたいなんです。前例がないから、話がすんなりと通らないみたいな。
チフネ挨拶として渡そうとしたオレらのCDすら受け取ってくれないぐらい。だって、こっちが話をする前にバーっと不安要素を言われて「難しいと思ってください」と。いや、行政のハードルはなかなか高いなと痛感しましたよ(笑)。

―序盤から躓きそうになったと。

チフネで、悔しかったからその足でまた千葉市役所へ行って、オレらに優しくしてくれる文化振興課の方に口を尖らせて、文句を言いながら泣きつきました(笑)。
一同ハハハハ(笑)。
チフネそしたら、了解してくれて、なんとか話を通してくれて。公園のスペースも使わせてもらえることになったんですよ。
アカマでも、いきなりオレみたく髪の毛おっ立てて、半分金髪のヤツが「ロックしたいんです」って管理事務所へ来たら、まあ断るよね(笑)。
一同ハハハハ(笑)。
チフネ今になると、管理事務所の気持ちもわかります(笑)。

―千葉市の後援というところに関係するかもしれませんが、ONION ROCK FESはチャリティーの一面も持ち合わせていますよね。

チフネ正直なところ、さっきも言った通り、オレらの念願の夢としては地元である千葉で野外イベントを開催することで。当初、そこは押し出したい重要な目的ってわけではなかったんです。ただ、イベントをやるにあたって、地元に還元できる意味も持たせたい気持ちが出てきて……なんとか恩返しをしたいみたいな。

―ちなみに、チャリティーはどういったところへ役立てるんですか?

ドウメン千葉市病院管理課を通じて、車イスや子供たち用の本を購入する資金にしてもらう予定です。
チフネ子供たちの為に、っていうのがありますね。新しい時代を担うのは子供だし、何かしらそこの力になれたらなと。

ほんのちょっとでも火種になってくれればとても嬉しい

―やっぱり、地元に対する気持ちは強い?

チフネ全国でツアーをするようになってからですね、気持ちはどんどん強くなっていきました。
アカマバンドをやってなかったら、そんなになかったかも。ただの出身地というか。でも、各地でライヴをやって、「オレらは千葉のバンド。千葉LOOKがホームです」ってやってるうちに、どんどん千葉へ対する気持ちが増していったんです。それこそ、このイベントだって、千葉で生まれ育ったオレらがやったら、千葉でバンドをやってる若い子たちが「いつか出たいな」と思ってくれたり、「あの3人がやってるなら、オレらにもやれるんじゃないか?」みたいなことにも繋がるかなって。

―そこが最たる目的ではないでしょうけど、千葉のバンドシーンの活性化に繋がれば嬉しいと。

チフネ千葉で、ライヴハウスからそのまま飛び出したようなバンドがやってるんだぞっていう印象が欲しくて。各地では実現してるバンドたちがいるじゃないですか。だから、オレたちも千葉でドンとやってますっていうのを打ち出したい気持ちがあるんです。だからこそ、イベントの第1回目にはそういう影響を与えてくれた、各地でイベントを主催してるバンドを呼びたいと思ったし。

―出演バンドについての話は次回のインタビューで詳しく伺いますが、そういった意味があったんですね。

チフネ最初、千葉のバンドばっかりでやることも考えたんです。でも、千葉で全国へ出て頑張ってるバンドも限られてて……年末にやるようなイベントと一緒では違うし。だったら、こういうイベントをやれるんだと見せつけたい気持ちもあって。オレらもバンドを長くやってきたおかげで、後輩もいっぱいいるので。

―また、『Laugh at life』のツアーファイナルにてMVが配布された「Viva all living!!」はONION ROCK FESのテーマソング的な意味合いがあるということでしたが、そのあたりについてもお話いただけますか?

チフネあのツアーファイナルで新曲を披露したい気持ちがまずあったんです。
アカマベストアルバムのツアーファイナルとなると、そこで区切りみたいなイメージがあったりするから。でも、オレらはそんな気持ちはなくて。終わりじゃなくて始まりだっていう想いがあったし。
チフネで、ツアー中に急ピッチで制作を進めたんですけど、「Viva all living!!」はアレンジに行き詰まったりもして。この曲はちょっと保留しようかなと考えたりもしたけど、「ONION ROCK FESを開催するんだから、野外をイメージすれば」って気づいたんです。あの場でみんなと一緒に歌いたいと思ったら、アレンジも徐々にビシッと決まっていって。

―バンドとして、次に見据えた大きな目標はONION ROCK FESでしたよね。

チフネそうですね。これが第一歩になれば。オレらとしても当然そうだし、千葉の若いバンドたち、これからバンドを組む子たち、これから楽器を持つ子たち、音楽に関わる人たちにとって、ほんのちょっとでも火種になってくれればとても嬉しいし、そう願ってます。